出産までに何度もある「妊娠中の壁」
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妊娠はおなかの赤ちゃんが日々育つ奇跡の時間。けれども、その道のりには「壁」と呼ばれる節目がいくつもあります。これは医学用語ではなく、「この時期を無事に越えると安心できる」といった意味合いで使われる言葉です。
今回は、妊娠初期・中期・後期に分けて、それぞれの代表的な「壁」とその理由を、赤ちゃんの成長とともにご紹介します。
~妊娠初期~
胎嚢確認の壁(5~6週)
妊娠検査薬で陽性が出た後、超音波で「胎嚢(たいのう)」が確認できるのがこの時期です。これが見えない場合、子宮外妊娠の可能性があるため、最初の大きな「壁」と呼ばれます。
胎嚢が確認できることで、妊娠が子宮内で順調に進んでいることがわかり、妊娠の第一歩が確かなものになります。
心拍確認の壁(6~8週)
この頃に赤ちゃんの心臓が動き出し、超音波で心拍が確認できるようになります。
ここで鼓動が確認できると、流産のリスクが大きく下がるため、多くの妊婦さんが一安心と感じる時期です。
小さな鼓動が見える瞬間は、生命の強さを実感する象徴的な節目ですね。
9週の壁
赤ちゃんの身長は2〜3cmほど。脳や心臓、肝臓など主要な臓器が発達しています。
しかしこの時期は、胎盤がまだ完成しておらず、流産リスクが比較的高いことから「9週の壁」と言われます。
9週を過ぎて胎盤が安定してくると、赤ちゃんの成長もより順調に進みやすくなります。
12週の壁
この頃にはほとんどの器官が形づくられ、「胎児」と呼ばれる段階に入ります。
妊娠初期流産の多くがこの時期までに起こるため、12週を越えると安定期が見えてくると言われます。
妊娠継続の節目として、多くの方が「ここを越えれば安心」と感じる時期です。
16週の壁
赤ちゃんは約12cmほどに成長し、骨格や筋肉がしっかりしてきます。
この週を過ぎると、胎盤が完全に機能し、ホルモンバランスが安定します。
胎児検査や母体の変化も進む時期であり、妊娠の「安定期」へと入る直前の節目とされています。
~妊娠中期~
22週の壁
赤ちゃんの肺が発達し、生まれても生きられる可能性が見えてくる週です。
21週6日までの出産は「流産」と分類されますが、22週以降は「早産」として医療的ケアの対象になります。このため、命の分岐点とも呼ばれる大きな壁です。
24週の壁
赤ちゃんの体重は約600g前後。皮下脂肪がつき始め、人間らしい姿になります。
24週を越えると、医療的にも救命の可能性が高まり、赤ちゃんの「生きる力」が確かになってくる時期。NICU(新生児集中治療室)でのサポートが現実的となる重要な週です。
28週の壁
赤ちゃんの体重は1kgを超え、脳や肺の発達が著しく進みます。
この週を過ぎると、早産となっても高い生存率が見込めるようになり、28週を境に赤ちゃんが“自分の力で生きる準備”を整えていく段階に入ります。
~妊娠後期~
30週の壁
赤ちゃんの脳神経が発達し、睡眠と覚醒のリズムが形成されます。
この頃から子宮が張りやすくなるため、早産を防ぐために安静を心がける時期でもあり、出産に向けた“体の最終調整”が始まる大切な節目です。
32週の壁
赤ちゃんの体重は約1800g。肺や肝臓などが完成に近づき、生命維持能力が大きく高まります。
32週未満の出産は合併症リスクが高いとされるため、ここを越えることは非常に重要な目安です。医療的にも「安全圏」に近づく週とされています。
34週の壁
赤ちゃんの体温調整機能や呼吸機能が整い、外の世界でも生きられるほどに成長します。
この週を迎えると、医療的介助があれば多くの赤ちゃんが順調に育つとされる“安心の壁”です。ママにとっても出産を意識し始める心の転換期になります。
35週の壁
赤ちゃんはほぼ完成された姿に。体重は2400g前後で、体脂肪も増えます。
「あと少しで正期産」という期待と不安が入り混じる時期。出産準備を整える目安として、この壁を超えることが大きな安心につながります。
37週の壁
ついに「正期産」と呼ばれる週に到達。
この週以降に生まれる赤ちゃんは「満期産」とみなされ、母子ともに出産の準備が整った状態です。妊娠期間の最後の壁を越えたその先に、待ち望んだ出会いが待っています。
妊娠中の「壁」は、決して不安を煽るものではなく、命が着実に育っている証。ひとつひとつの節目を乗り越えるたびに、お母さんとしての自信と絆が深まっていきます。
リエムオーガニックは、そんな大切な時期に、そっと寄り添う存在でありたいと願っています。これから迎える毎日が、あなたと赤ちゃんにとって穏やかであたたかな日々になりますように。
